岐阜聖徳学園大学 岐阜聖徳学園大学短期大学部

岐阜新聞 真学塾 経済情報学部② 浅野礼美子 

限りある資源の使い道

岐阜聖徳学園大学経済情報学部 准教授  浅野礼美子

 私たちの暮らす社会には、多くの制約があります。制約があると、一方を優先しようとすると、別のことを犠牲にしなくてはならないこともあるでしょう。このとき、望ましいと思う二つの事柄があったとしても、両立できないという関係があるのです。このような関係をトレードオフといいます。

 例えば、日頃の買い物。ここでもトレードオフは存在します。買い物をするとき、限りあるお金の範囲であれこれ迷いながら購入する場面を想像してください。良質で価格が高い商品を買うか、十分ではないが一応のレベルにある品質で価格が安い商品を買うか。これらの二つの選択肢では、品質と価格との関係にトレードオフが存在しています。この例のように使える資源に限りがあると、トレードオフが発生するのです。

 資源というと、天然資源を思い浮かべる人がいるかもしれません。ですが、経済では天然資源を含め、人が使えるあらゆるモノやサービスを資源とみなします。この意味においては、お金も資
源の一つといえるのです。

 限りある資源をどのように使うのか。この問題に直面しているのは、個人だけではありません例えば、企業は経営資源を活かし、事業活動を行っています。経営資源は実に多様で幅広いもの
です。まず、お金、土地や設備などの物的資源、労働力としての人的資源。さらに、企業の内外に蓄積された情報、ブランド、組織文化などがあります。限りある資源を使うにあたっては、最善の選択をするための検討が必要です。とりわけ、希少な資源であればあるほど、使い道の判断と選択は容易なことではありません。そのため、トレードオフの問題、資源の特性などに照らして、多面的な検討を加えるとよいでしょう。つまり、資源をどのように配分すれば最適な結果になるか考えて、適切な判断を下す必要があります。希少な資源への使い道を誤ると、後悔することもあるでしょう。

 だからこそ、私たちは限りある資源の使い道をよく考えたうえで行動したいものです。(2021.3.28岐阜新聞掲載)