岐阜聖徳学園大学 岐阜聖徳学園大学短期大学部

岐阜新聞 真学塾 経済情報学部⑮ 田口隆 

心のトレーニング

岐阜聖徳学園大学経済情報学部教授 田口 隆

 先日、体操選手の白井健三さんが、選手としての現役引退を表明されました。記者会見では「選手としての未練は一つもない。」という言葉を残されました。私は以前より、人が発した言葉の意味やその発言に至る経緯や経験などに興味を持っており、自分自身の仕事など人生において何かのヒントにならないか考えることがあります。白井選手の名前が命名された素晴らしい技の完成に至る努力など大変興味が湧いてきました。成功までの過程には数多くの失敗もあったと思います。失敗をネガティブにとらえず、努力の継続をはたした物事に対する考え方を知りたいとも思いました。

 野球のイチローさんも「壁というのは、出来る人にしかやってこない。越えられる可能性がある人にしかやってこない。だから、壁がある時はチャンスだと思っている。」という名言を残されています。自分の可能性を広げることにはチャレンジすることが必要になりますが、チャレンジはいつも成功するものとは限りません。失敗した時にどのように心を整えるか? また、継続するには相当なエネルギーが必要になり、時にはそのエネルギーが足らなくなったりし、放り出してしまいそうになることもあるかもしれませんが、そのような時にどのように心を整えるか?

 メンタルトレーニングというものがあります。メンタルトレーニングは、自分自身に着目して取り組むもので、数種類の方法があります。その中で、「最終的なゴールをイメージして目標を設定する。」というものがあります。ゴールを明確にしないとそれに向けての取り組みも曖昧になってしまい、目指す姿に近づけません。理想の人物像をあげイメージすると具体的な目標が定めやすくなります。理想とする人がどんな行動をし、どのような発言をしていたかを振り返ったりします。また、「成功した人物を観察して真似をする。」というものもあります。これを繰り返し行う過程で、新しい発見や自分流というものを学びます。そしてその過程を継続することでその行動を自分自身が吸収し、習慣化し、『行動を起こせている自分に自信が持てる』ようになります。

さりげない周りの方々が発した言葉に耳を傾け、自分自身の成長に活かせていけたら良いと思います。(2021.6.27岐阜新聞掲載)