岐阜聖徳学園大学 岐阜聖徳学園大学短期大学部

岐阜新聞 真学塾 経済情報学部⑰ 畠平徹 

興味をもって意欲的に調べたことを、将来に役立てましょう


岐阜聖徳学園大学経済情報学部准教授 畠平 徹

 私は、交通経済学や歴史学などの授業をしています。小学時代には、観察や実験や工作が好きな「科学少年」でしたが、地元の町には、遠い昔に大津波で海底に沈んだ後に陸地が復活したという伝説がありました。不思議な伝説の真相を知りたくて、郷土史や地学的なことへの関心が強い子でもありました。
 中学時代は、自分たちで科学部を作って実験などに熱中する「科学少年」ぶりでしたが、高校では、歴史部に入部しました。これは、極端な部員不足の状態から救って欲しいと頼まれたからで、文化祭での展示を見た人が入部したくなるような展示物をできるだけ多く作ることに熱中しました。遺跡の発掘調査などの、経験したことのない多くの分野に挑戦したことが、その後にずいぶん役立ちましたし、部員数も急増して、充実した高校時代になりました。
 大学時代には、毎年の休暇に飛騨のバス会社でバイトをするうちに、交通が地域経済を支えていることを実感して、交通経済学を専攻することにしました。また、飛騨にも独特の歴史があり、その成果として生まれた独自の魅力があるからこそ、現代の生活も成り立っていることに気付き、小・中・高校時代に熱中したこととリンクして、歴史の中から地域活性化の糸口を探すようになりました。
多くの分野は、学校ではそれぞれ別々の教科ではあっても、本当は、互いにリンクしていて互いのヒントになることも多いですから、みなさんも、多くのことに興味を持ち、楽しみながら意欲的に調べてみると、きっと、将来に役立つことでしょう。
 近年では、国土地理院の精密な標高データを利用して、かなりの精度で立体的に地形を描くことができます。今まで自然の地形のように思えた場所でも、過去に大規模な土木作業があった形跡が見えてくることもありますから、今後に歴史についての新発見が続くことも期待できます。その土木作業を指揮して豊かな土地に変えた人たちが、その豊かさを奪おうとする人たちとの戦いに敗れると、勝った側の人たちによって、反逆者だと書かれる傾向もあります。歴史書に反逆者と書かれた人ても、長い歳月を経た今でも慕われている場合は、地元を豊かな土地に変えた人かも知れません。漫画やアニメの『呪術廻戦』でも有名になった飛騨の「両面宿儺」も、本当は、そういう人だったのかも知れませんね。(2021.7.11岐阜新聞掲載)