岐阜聖徳学園大学 岐阜聖徳学園大学短期大学部

岐阜新聞 真学塾⑩ 教育学部 教職専修長 柘植 良雄

岐阜新聞 真学塾⑩

自然体験のススメ!


コラム  岐阜聖徳学園大学教育学部教授 教職専修長 柘植 良雄


 最近、教育学部生の中にもザリガニを見たことがないとか、バッタやカエルにさわれないという人が増えています。都会の小中学校で育った人たちは、必然的に自然体験が少なく、ある意味当然の実態かもしれません。しかし、彼らは自然体験が嫌いなわけではありません。岐阜県百年公園で二日間、自然を体験的に学ぶ初等生活Ⅱ(演習)の授業では、彼らは小学生のように目を輝かせ、生き生きと学習します。自然体験などの直接体験は、興味・関心、意欲を向上させ、問題を発見し解決する力、豊かな心や社会性の形成、基礎的な体力や心身の健康保持など、多くの効果があるとされています。

 この授業に参加したAさんが、こんな質問をしてきました。「先生、家の周りで三つ葉のクローバーを見付けたんですが、シロツメグサとは違うんです。花が小さくて黄色なんです。何という名前ですか?」。彼女は、カタバミを見付けたのです。さらに「三つ葉も小さいし、一枚一枚がハート型なんです。薄くてやわらかい三つ葉なんです」。Aさんは、カタバミの特徴をよく捉えています。彼女はこの授業をきっかけに、身の回りの草木に興味・関心をもち始めました。愛知県の小学校教員に採用が決まり、子供たちから聞かれても答えられるようにと、真剣に草木の名前を覚えようとしていました。私は、「名前だけではなく、子供たちにその草木のお話ができるように!」とアドバイスしました。

 例えば、「シロツメクサは『詰め草』であり、江戸時代にオランダからのガラス製品を、箱に詰めて運ぶ時の緩衝材として使われたことが名前の由来とされています。そして、明治時代には牧草として全国に広がりました」といった具合です。カタバミは「片喰」と書き、夜には葉を閉じて「葉が半分食べられた」ように欠けて見えることから名づけられたそうです。また、別名「スイモノグサ」「鏡草」とも言われ、葉を揉んで10円玉を磨くと葉に含まれる酸(シュウ酸など)でピカピカになることから、昔は金属や鏡を磨くのに使われたと事典などに書かれています。我々は書物などから得た知識のうち、自ら体験できるものは、実際にやってみたいものです。思わぬ感動が得られ、自然の見方・考え方が変わるかも知れません。体験活動はあなたの探究意欲を高め、思考や理解の基盤をつくるのです。

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