岐阜聖徳学園大学 岐阜聖徳学園大学短期大学部

岐阜新聞 真学塾⑮ 教育学部 音楽専修 大西 隆之

岐阜新聞 真学塾⑮

和音の性質

岐阜聖徳学園大学教育学部音楽専修 大西隆之

 和音とは、高さの異なる二つ以上の音が同時に鳴るものを言います。私たちがよく耳にする和音は、三つの音でできている三和音というものが基本となっていて、その和音に更に音が足されたり臨時記号(♯、♭等)によって音が変化させられたりして様々な種類の和音が作られます。

 ドミソの音で作られた和音があります。これをピアノなどで弾いてみると、明るいとか、暖かいとか、平和だ、と感じられると思います。このような響きの和音を長三和音と言います。ドミソ以外にもたくさんの長三和音が存在しますが、全て同じように明るいと感じる響きを持っています。このドミソのソの音を半音高くすることにより増三和音が作られます。この和音は浮遊感があるとか、捉えどころがないとか、ぼんやりとした、とかいうふうに説明されます。また、ドミソのミの音を半音低くすると短三和音という和音になります。この和音は長三和音の逆の感じを抱かせる響きを持っています。つまり、暗い、寒々しい、寂しい、悲しい、といったような気持ちを起こさせる響きを持っている和音であると言えます。この短三和音のソの音も半音低くすると減三和音という和音になります。この和音は、緊張、恐怖、不安、などという気持ちを起こさせる響きを持っています。


 このように、和音を構成している音にほんの少し変化を与えることで、全く異なった響きを持つ和音が作られるのです。これらの和音の特徴を知っていると、特にはっきりとした旋律を作らなくても、ドラマや劇のBGMを作ることができます。さらに、これらの和音に旋律やリズムを加えると、そのドラマや劇、場面に一層適した音楽を作ることができるわけです。

 現代は、音の数を増やしたり、重ね方を工夫したりと、とても複雑な和音を使った音楽をたくさん聴くことができます。テレビや映画を見る時に、映像の後ろで鳴っている音楽にちょっと意識を向けてみてはいかがでしょうか。

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