岐阜聖徳学園大学 岐阜聖徳学園大学短期大学部

岐阜新聞 真学塾㊴ 教育学部 理科専修 浦和博子 

遺伝情報を操る時代の到来!何をどう利用しますか?

岐阜聖徳学園大学教育学部准教授 理科専修 浦和博子

 大豆を使ったスナック菓子を買ったとき、裏面の表示を見てみてください。「組換え大豆を使用していない」と書かれていると思います。「組換え大豆」って何でしょう。これは、元は大豆自身が持たない遺伝情報を組み込んだ大豆を使っていないという表示です。日本には、遺伝子組換え食品表示制度があり、元はその作物自身が持たない遺伝情報を外部から組み込んだときは表示義務があります(使用していない 表示の義務はありません)。

 ゲノム編集食品解禁の文字が、昨秋マスコミをにぎわせました。通常の倍の身がついたタイ、血圧を下げる要素を多く含むトマトなどがスーパーに並ぶ日も近いといわれています。一方で、昨年末には、にゲノム編集した受精卵から双子を誕生させた中国人研究者に、実刑が言い渡されました。これらは、いずれも2012年に発表された「CRISPR(クリスパー)/Cas(キャス)9」タンパク質を用いてゲノムと呼ばれる「生命の設計図」を変化させた生物改変です。僅か6年で私たちの生活に大きくに関わるようになりました。

 ゲノム編集食品とヒトのゲノム編集とは何が違うのでしょうか。遺伝子組換え食品とゲノム編集食品はどこが違うのでしょうか。遺伝情報を書き換える対象が魚や作物なら良いのでしょうか。病気を治すためならどうでしょう。生物自身の遺伝情報の書き換えの表示義務は不要でしょうか。これらは、世界の国々で対応が異なっているのです。

 厚労省は昨年末に人受精卵を用いたゲノム編集に関して法整備の必要性と技術進捗や世界の各国の情勢を見守りながらの審議が必要と言っています。

 科学技術の進歩は加速度を増しています。どの様に利用し、規制するかを判断するのは、皆様の世代に委ねられます。物事の多様な見方、考え方、判断力を養うことを心がけて頂きたいと思います。

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