岐阜聖徳学園大学 岐阜聖徳学園大学短期大学部

岐阜新聞真学塾㊿ 教育学部准教授 数学専修 藤垣佳子

平面図形の重心

岐阜聖徳学園大学教育学部准教授 数学専修・藤垣 佳子(解析学)

 皆さんは、下敷きや定規、鉛筆などを指1本で支えてバランスをとる遊びをしたことがありますか?友達と話しながら、あるいは一人で暇な時など、なんとなく下敷きを指の先で支えてみたり、鉛筆やシャープペンシルを人差し指の背や腹の部分に乗せてバランスをとってみたり、という経験は多くの人に一度はあるのではないかと思います。これらの行動は無意識に(あるいは知っている人は意識的に)物体の重さのバランスが取れる点を探していることになります。長方形の下敷きでは真ん中(対角線の交点)部分を、重さが均一ではないシャープペンシルでは長さの半分から少しずした場所で支えると上手くバランスが取れますが、数学や物理ではこの点のことを‟重心"と呼んでいます。日本の伝統玩具である‟やじろべえ"も、この重心の性質を利用したおもちゃです。

 例えば、次のような形の厚みの均一な板を人差し指の先で支える場合、どの部分を支えれば上手くバランスが取れるでしょうか?図におおよその位置を書き込んでみましょう。

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 答えはそれぞれ次のようになります。①ひし形は四角形ですから、対角線の交点が重心です。②三角形の場合は中線(各頂点とその対辺の中点を結ぶ線分)の交点が重心です。③の図形は線対称(半分に折り曲げると図形が重なる)なので、重心は対称軸上の大円の中心から少し左にあります。これは高校で学習する積分(実際には大学で学ぶ二重積分)の考え方を用いると、計算で正しい位置を求めることが出来ます。 

 ちょっとした身近なことにも、数学の考え方を活用する機会が実は沢山あります。数学では、時として予測をすることも大切ですから、結果の予想をしながら問題を解くのも良い勉強方法です。

(答)

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