岐阜聖徳学園大学 岐阜聖徳学園大学短期大学部

岐阜新聞 真学塾51 教育学部准教授 理科専修 谷川直也  

乾いた空気と湿った空気はどちらが重い?

岐阜聖徳学園大学教育学部准教授 理科専修 谷川直也

 皆さんは,この問いをどう考えたでしょうか?乾いた空気?それとも湿った空気?乾いたタオルと湿ったタオルを連想すると,湿っているものは水分を吸収しているために重くなると考えます。科学的に,両者を「比較」するとき,「条件制御」といって,条件を一定にして,考えなければなりません。たとえば,「鉄と銅はどちらが重いか?」と問われても,同じ体積で「比較」しなければ,科学的に正しい答えを導き出すことはできません。

 気体は,気体分子という,極めて微小な粒子の集まりです。

 気体の重さを比較する際には,同じ温度,同じ圧力,同じ体積で比較する必要があります。このとき,気体に含まれる,気体分子の数は同じになります。この法則をアボガドロの法則といいます。空気は窒素と酸素が約4:1(体積比)の割合で混じりあった気体です。その重さは,水素の分子の重さを仮に2とすると29になり,水蒸気(気体の状態の水)を構成する水の分子の重さは18となります。

 気体の重さ比べは,同じ温度,同じ圧力,同じ体積,同じ数の気体分子で行うので,乾いた空気のなかの空気の分子のいくつかと同じ数の水蒸気の分子が入れかわったものが,湿った空気ということになります。

 つまり,同じ温度,同じ圧力,同じ体積の条件で比較すると乾いた空気の方が湿った空気よりも重いのです。身の回りの現象を科学的にみることができるようになると,これまでと違った世界が広がり,人生を豊かにしてくれます。

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