岐阜聖徳学園大学 岐阜聖徳学園大学短期大学部

岐阜新聞真学塾52 教育学部専任講師 音楽専修 小見山純一 

身近な生活の中のクラシック音楽

岐阜聖徳学園大学教育学部専任講師 音楽専修 小見山 純一

 皆さんはクラシック音楽に興味がありますか。「ありがとう。い~い薬です」でおなじみの、とある胃腸薬のCMで長年使用されていた曲が、実はショパンの前奏曲であることをご存知でしょうか。クラシック音楽は身近な生活の中に数多く存在し、知らないうちに耳にしているのです。

 クラシック音楽の作曲家で人気の高い、フレデリック・ショパン。1810年にポーランドで生まれた彼は、作品の大半をピアノ曲が占め、その美しさから「ピアノの詩人」という愛称で知られています。後半生をフランスで過ごしましたが、生涯祖国を愛し数々の名曲を残しました。

 その中の一曲、「革命のエチュード」。嵐のように激しいこの曲が作られた背景には、ロシアによるワルシャワ侵攻が関係していると言われています。ショパンは、激しい怒りや憤り、祖国への熱い想いをピアノにぶつけたのではないでしょうか。

 一方、軽快で愛らしい「小犬のワルツ」。この曲は、彼の恋人ジョルジュ・サンドの飼っていた犬が、自分の尻尾を追いかけてぐるぐる回っている様子を表したというエピソードが残されています。

 そして、ショパンの最も有名な曲の一つである「幻想即興曲」。彼自身はこの曲を気に入っておらず、生前、世に出ることはありませんでした。ショパンの死後、友人のフォンタナが発見し、出版したことにより広まりました。おかげで私たちはこの素敵な曲に出会えた訳ですが、ショパンが知ったらどう思うでしょうか。

 他にも、フィギュアスケートで知られる「ノクターン第2番」や「バラード第1番」、ドラマや映画のBGMとして多く用いられる「英雄ポロネーズ」や「別れの曲」等、おそらく一度は耳にしたことがあるでしょう。その一曲一曲に物語があり、作品の背景を知ることで、より楽しみ方が広がります。

 現在、コロナウイルスの影響で多くの演奏会が中止となり、生演奏に触れる機会がなくなり、非常に寂しい状況です。しかし、様々な場面でクラシック音楽は溢れており、YouTube等で手軽に聴くこともできます。暗い話題が多い時だからこそ、音楽の持つ力は大きいと思います。疲れた時には心と体を少し休めて、身の回りのクラシック音楽に耳を澄ませてみてください。そこから新たな扉が開かれるかもしれません。

 余談ですが、最初に挙げたCMの曲は、イ長調で書かれています。胃腸だからイ長調の曲なのか、はたまた単なる偶然なのでしょうか・・?

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