平成27年度に開設され、9年目を迎えました。一人一人が自分のよさを生かしながら共に学んでいけるよう、学生も教員も「専修の一体感」、「専修の一員としての所属感」を大切にした人間関係を築いています。
平成19年の学校教育法の一部改正により、すべての学校、すべての教室で特別支援教育の充実を図ることになりました。さらに、平成29年の教育職員免許法の一部改正により、教員免許を取得する際に「特別支援教育」の単位取得が義務づけられました。
特別支援教育専修では、こうした流れの中にあって、教育現場や福祉現場等に求められる「様々な困難さを抱えている幼児児童生徒に対する正しい理解と的確な支援」にかかる専門性を高めています。
学びのポイント
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授業の特長
特別支援教育専修では、小中学校などにおける教員としての基礎的な資質を育むと共に、様々な困難さのある子どもやそのご家族の笑顔が増えていくことを願い、障害や疾患等に関わる専門的な知識理解、自立と社会参加に向けた指導・支援方法、社会的障壁の軽減等について、実践的に学んでいきます。
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専門ゼミ
3年次から、担当教員いずれかのゼミに属し、仲間や教員と共に、自分の問題意識を深め、研究課題を追究していくことになります。4年次の卒業論文にも繋がっていきますが、特別支援教育専修では、どの教員も、すべての学生を対象に、指導・支援していくことを大切にしています。
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教員
特別支援教育専修には、取得可能な特別支援学校教員の障害種別に応じて、知的障害、肢体不自由、病弱を専門とする専任教員が在席しています。各教員が小中学校や特別支援学校における教員経験や、小児病棟などでの心理臨床に携わってきた経験を有するなど、豊富な実務をもとに授業や研究を進めていくことができることが強みです。
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卒業研究
4年次の12月には4年間の集大成として、卒業論文を提出します。1月終わりには、すべての学年が揃って、卒論発表会を行い、各ゼミで学んできた成果をそれぞれ発表します。
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取得できる教員免許
教育学部学校教育課程特別支援教育専修では、小学校教諭一種免許状、特別支援学校教諭一種免許状(知的障害者、肢体不自由者、病弱者)を卒業と同時に取得することになっています。さらに、幼稚園、中学校、高等学校の教員免許についても、取得可能です。ここまでの卒業生の多くは、3種類、4種類の教員免許を取得して、教員になっていきます。
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目指すゴール
特別支援教育および教科に関する学習指導要領の内容、評価の観点・評価方法などを理解し、それらを踏まえた指導計画を作成することができる教員として、また、福祉や心理の専門性をもち、本人や保護者に寄り添うことのできる支援者としての活躍が期待されます。多様性を重んじ、共生社会を築いていく特別支援教育の考え方を身に付けて巣立っていくことを目指します。
取得可能な資格
小学校及び特別支援学校の教員免許状の取得が必修となっているほか、中学校・高等学校・幼稚園など、複数の教員免許状、学校図書館司書の資格などを取得することが可能です。これは、幼児児童生徒に対して一貫した指導・支援を継続して行うことをめざす特別支援教育の理念にも合致しており、教員採用試験でも大きなアドバンテージになります。
特に、特別支援学校(幼稚部、小学部、中学部、高等部など)で勤務するためには、特別支援学校の教員免許だけでなく、基礎免許となる幼稚園、小学校、中学校、高等学校といった、それぞれの教員免許が必要になるからです。卒業生の多くは、複数の教員免許を取得できたことで、進路選択の幅が広がり、就職後も子どもたちの発達段階を踏まえた指導・支援に繋がっているとの声が届いています。
授業科目


ゼミ
各教員には、専門とする障害領域や研究分野があります。例えば、特別支援教育全般の行政・施策、知的障害児の教育、発達障害児の心理などです。2年次後半から自分の研究したいテーマに合わせて教員面談を重ね、3年次から所属するゼミを決めていきます。ゼミでは、お互いの研究テーマを持ち寄って活発な議論をしたり、教育現場等に出かけて調査研究を深めたりします。
教員は、それぞれの所属ゼミ生の指導にあたりますが、学生の求めに応じて、ゼミの枠を越えて、質問に応じたり、指導・助言をしたりすることがあり、それも特別支援教育専修の強みだと感じています。
時間割例
(1年生後期、中学校教諭免許状(国語)を取得する場合)
曜日 | 時限 | |
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月 | 1 | 【教養】 |
2 | 【教養】 | |
3 | 教育基礎論 | |
4 | 国文学概論Ⅱ | |
5 | ||
火 | 1 | 初等教科教育法(理科) |
2 | 国語学Ⅱ | |
3 | ||
4 | 国文学特講Ⅱ | |
5 | ||
水 | 1 | 日本国憲法 |
2 | 中等教科教育法Ⅰ(国語) | |
3 | 書写の部 | |
4 | ||
5 | 学校ふれあい体験介護等の体験(事前事後指導) | |
木 | 1 | 宗教学Ⅱ |
2 | スポーツⅡ | |
3 | 初等国語(含書写) | |
4 | 初等体育Ⅰ | |
5 | 特別支援教育総論 | |
金 | 1 | |
2 | 【教養】第二外国語 | |
3 | 初等図画工作Ⅰ | |
4 | 英語コミュニケーションⅡ | |
5 | ||
集中講義 |
卒業研究
- 小学校におけるユニバーサルデザイン教育の実態と課題
- 自閉症スペクトラム障害のある生徒に対する作文指導
- 特別支援学校における教師と保護者の信頼関係の構築に向けて
- 障害児の父親が育児参加しやすい環境づくり
- 通常学級担任と支援員の支援記録を用いた連携について
- 障害のある子どものきょうだいが抱える心理的特性
- 子どもの居場所づくりとしての子ども食堂や学習支援のあり方
- 発達障害の子どもを持つ保護者が求めるソーシャルサポートの実態
- 動作法キャンプにおける初心者トレーナーの体験
- 学習上の困難さを有する児童に対する支援と手立てについて
- 通級による指導の成果を通常学級での学びに活かす効果的な指導
- 療育者の困難感・やりがいに関する研究
- 小学校特別支援学級の児童の思いに寄り添った交流及び共同学習
- 知的障害特別支援学校高等部の作業学習における主体的な活動を促す支援の在り方
進路・就職
卒業後の進路は、約85%が特別支援学校もしくは小学校などの学校教員として就職、約15%が障害児・者を対象とした社会福祉施設や市町村の療育センター、公務員、一般企業などへの就職、大学院進学です。教員以外も、特別支援教育に関する内容が役立つ進路が多いことも特徴です。
過去3年実績 令和元年度~令和3年度
教員 | 令和元年度 | 令和2年度 | 令和3年度 | |||
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教員就職率 | 実質正規採用率 | 教員就職率 | 実質正規採用率 | 教員就職率 | 実質正規採用率 | |
学部全体 | 72% | 75% | 77% | 74% | 79% | 78% |
特別支援 教育専修 |
91% | 83% | 78% | 71% | 95% | 76% |
教員就職率:教員就職者数/専修卒業生数(%)
実質正規採用率:正規採用者数/教員就職者数(%)
就職/進学 | 人 |
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企業・団体 | 7 |
公務員 | 2 |
施設 | 2 |
進学 | 3 |
保育 | 0 |
就職:福田刃物工業、日野町
進学:福井大学・奈良女子大学・岐阜聖徳学園大学 連合教職開発研究科(連合教職大学院)
教員紹介
研究課題 | 最終学歴 | |||
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谷浩一 |
肢体不自由児の教育、動作法、応用行動分析 | 大阪大学大学院連合小児発達学研究科子育て支援専攻 修了,博士(小児発達学) | 詳細 | |
永井祐也 |
病弱、自閉スペクトラム症の二次障害予防、インクルーシブ教育 | 大阪大学大学院人間科学研究科 修了,博士(人間科学) | 詳細 | |
野村香代 |
発達障害児への発達支援、低出生体重児へのフォローアップ、保護者心理 | 中京大学大学院心理学研究科博士後期課程 単位取得満期退学,博士(心理学) | 詳細 | |
松本和久 |
知的障害、キャリア発達支援、交流及び共同学習、合理的配慮、余暇活用 | 筑波大学大学院教育研究科障害児教育専攻 修了,修士(教育学) | 詳細 | |
安田和夫 |
知的障害、発達障害、自閉症教育、手話言語、授業改善、合理的配慮 | 岐阜大学教育学部教育学科治療教育コース 卒業,学士(教育学) | 詳細 |
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