岐阜聖徳学園大学 岐阜聖徳学園大学短期大学部

岐阜新聞 真学塾 外国語学部④ 李 嘉  

言語学習入門=数式+想像力

岐阜聖徳学園大学外国語学部助教 李 嘉

 新年度初めの授業で、学生に自己紹介してもらう時、「英語は苦手」「中国語は難しい」「外国語の習得は得意ではない」というような言葉をよく耳にします。そして、中国語の課題を添削する際に気付いた最も大きな問題は、語順の乱れ、いわゆる文法の間違いです。

 「言葉の勉強=単語の意味の丸暗記」と思う学生は多いようですが、確かに言葉の勉強に単語の暗記と理解は不可欠でしょう。単語を覚えておかなければ素材をもっていないことになり、文章を作ろうとしても作れないからです。しかし、言語の法則を無視し、単語の意味をひたすら覚えることは、数学を勉強しても数式を無視し、数字の組み合わせの結果を丸暗記しようとすることと同様です。特別な映像記憶能力の持ち主でなければ不可能なミッションでしょう。

 漢文や現代中国語を勉強し始める時、単語の品詞と基本語順、基本文型を先に覚えておけば、後は単語の入れ替えだけだと考えても良いと思います。具体例を挙げると、英語も現代中国語も漢文も「主語(名詞(節))+述語(他動詞(節))+目的語(名詞(節))」(SVO)のような基本文型があります。そうすると、漢文の"歳月不待人"「歳月(名詞:歳月(時間))+不(否定を表す副詞:〜ない、〜しない)+待(動詞:待つ)+人(名詞:人間)」は「歳月人を待たず」を丸暗記しなくても意味が理解できるのです。逆に、「我wǒ(名詞:私)」「叫jiào:(名前)と呼ぶ)」が分かると、「我叫○○」という現代中国語の自己紹介文も簡単に作れます。ちなみに、このような基本語順を持つ言語は、世界中の言語の約40%を占める、とアメリカ人言語学者グリーンバーグは主張していますから、他の外国語の勉強にも役立つはずです。

 それでは、言語の数式「SVO」と想像力を発揮して、以下のフランス語の単語を正しい順番に並べ替えてみましょう。la(冠詞) musique(名詞) aime(動詞) Marie(名詞、人の名前)

正解:Marie aime la musique. マリーは音楽が好きです。(2020.11.22岐阜新聞掲載)

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