岐阜聖徳学園大学 岐阜聖徳学園大学短期大学部

岐阜新聞 真学塾 外国語学部⑦ 長谷川 信

プログラミング教育

岐阜聖徳学園大学外国語学部准教授 長谷川 信

 2020年度から小学校にプログラミング教育が導入されました。この後は中学校、高等学校でもプログラミング教育が始まります。

 プログラミングとは、コンピュータに指示をすることです。この指示の集まりをプログラムといいます。プログラムはコンピュータを動かす目的に合わせて作られます。例えば、ゲームを動かすプログラム、銀行システムを動かすプログラム、ロボットを動かすプログラムなどがあります。現在では、あらゆる機械にプログラムが組み込まれています。

 今まで、専門技術者だけが作るコンピュータプログラムはブラックボックスでした。生活の中で日常的に利用しているコンピュータシステムなどがエラーを起こしても、プログラムの仕組みを知らない多くの人たちは不安になるだけでした。しかし、これからプログラミングを学ぶ人たちは、プログラムの仕組みを知ることで、コンピュータのトラブルを予見し、備えをすることができる社会を生きるようになるでしょう。

 ただ、これら学校でのプログラミング教育は、高度なプログラム作成が目的ではありません。自分の意図する動きを実現するために、コンピュータへの指示の組合せを考え、試しながら、効率的な指示手順を実現する過程が重要となります。プログラムの最も基本的な構造は、順番に指示を実行する「順次実行」、ある条件の時だけ指示を実行する「条件分岐」、同じ指示を繰り返す「繰り返し(反復)」の3つです。プログラミングでは、様々な種類の指示を3つの基本構造に組み合わせて考えます。

 例えば、私たちの生活において、朝起き、顔を洗い、歯を磨き、などは毎日の「繰り返し」ですし、天気によって傘を持つ/持たない、曜日によって家を出る時間が違う、などは、ある条件(天気、曜日)で指示を変える「条件分岐」になります。このように、事象の全体を見極め、構成要素および要素間の関係を上手に捉えることで、現実世界を3つの基本構造に分けられます。これが、プログラミングの始まりになります。

 ロボットやAIが適切な仕事をするためには、人間の指示が必要です。プログラミング教育は、ロボットやAIを使いこなす新しい世代のために始まったともいえます。(2020.12.20岐阜新聞掲載)

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