岐阜聖徳学園大学 岐阜聖徳学園大学短期大学部

岐阜新聞 真学塾 外国語学部⑧ 蔵 研也

中学英語、すべての基礎に

岐阜聖徳学園大学外国語学部准教授 蔵 研也

 日本は教育熱心な国であり、数学や理科などについては、世界の国別の学力調査でも常に上位を争っています。ところが、英語に関してはそうではありません。例えば、スイスにある国際教育研究機関EFエデュケーション・ファーストの調査によると、日本人の英語能力は4年連続で5段階中4段階目の「低い能力レベル」にとどまっています。こうした英語能力が低い原因としては、日本人は自分からは話そうとしないといった、国民的な気質といった要因もあるにちがいありませんが、それだけではありません。

 アメリカの国務省が、アメリカ人にとっての、世界の言語の習得の難しさを発表しています。そこではヨーロッパの国々の言語では600時間で学習できるとされているのに対して、日本語だけが最高難易度に分類されて、外交官が十分に話すためには88週間、2200時間以上が必要だとされています。これはヨーロッパ諸国が地理的にもイギリスに近く、言語的にもインド・ヨーロッパ語族と呼ばれる近い間柄だからです。。

 そしてイギリスと日本はユーラシア大陸の両端に位置しています。それだけ単語も文法も、さらに表現や言葉どうしのつながりも大きく異なります。このため、学習に時間がかかるのです。(日本語はひらがな・カタカナ・漢字を使い、さらに複雑な敬語があるので特に学習が難しいので、日本人が英語を学ぶのは、もっと短い時間ですむでしょう。)

 それにしても日本人は中学高校の6年間英語を学びますが、6年間は2190日です。とすれば、英語を使いこなすには、おそらく一日1時間以上は真剣に英語を学ぶ必要があるでしょう。また実際に、英語を使って仕事をしている日本人は大学以降も勉強を続けているのが普通です。千里の道も一歩からと言います。中学時代の英語学習はすべての基礎になるので、ゆっくりと着実に身に付けて下さい。(2020.12.27岐阜新聞掲載)

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