岐阜聖徳学園大学 岐阜聖徳学園大学短期大学部

岐阜新聞 真学塾 外国語学部⑬ 冨田福代

専門職・教師の底力

岐阜聖徳学園大学外国語学部教授 冨田福代

 読者の中学生の皆さん、2018年は小学生だったでしょうか。その年のある調査の小学生が「将来なりたい職業」ランキングトップ10で男子第7位、女子第5位になっている職業は何だと思いまか?それは「教師」です。ちなみにその調査で男子の第1位は「野球選手」、女子の第1位は「パティシエ」でしたが、いずれも納得ですね。それではあなたの将来なりたい職業は何ですか?教師でしょうか?順位は変わっても「教師」は今も昔もベストテンに入っていて、子どもたちのあこがれの職業といわれています。皆さんにとって最も身近な職業のひとつです。

 2020年は予期しないコロナ禍で、日本はもちろん世界中が混乱の中にありました。もちろん日本の学校や教師はこれまでにない対応が必要になり、学校休校中の指導だけでなく再開後の時間割や行事の見直しなど、皆さんの学びを最大限取り戻すために教師は力を合わせて全力で取り組んできました。皆さんはこの難題を教師と共に乗り切り、これまで当たり前だった日常の学校生活が、いかに大切であるかを実感した1年だったのではないでしょうか。

 日頃大学で教師を目指す学生の指導をしていますが、学生は授業を通して教師の役割や仕事を知り、また現実を学ぶ中で、その責任の大きさや厳しさとともにやりがいや喜びも学んでいきます。この1年は学生たちにとっても、コロナ禍の学校や教師の試行錯誤の取り組みから「専門職の底力」を学ぶ特別な年となりました。

 いくつかの研究や報告によると、皆さんが社会人として活躍する近い将来にはICTや機械分野の技術革新が促進して、現在存在する機械化が可能な職業の多くがなくなっているだろうといわれています。学校教育は教師と生徒の人と人のコミュニケーションを基本としており、機械化できる内容には限りがあるとされています。子どもたちのあこがれの職業である「教師」の役割も時代や社会の移り変わりとともに変化していきますが、次の世代を育てる教育は機械でなく人間である教師が担っていくことに変わりはありません。(2021.1.31岐阜新聞掲載)

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