岐阜聖徳学園大学 岐阜聖徳学園大学短期大学部

岐阜新聞 真学塾63 教育学部 体育専修 長谷川晃一 

効率よく運動を習得するための"ある習慣づけ"

岐阜聖徳学園大学教育学部専任講師 体育専修 長谷川 晃一

 新型コロナウイルスの感染防止や熱中症対策のため,体育やスポーツを行う時間が少なくなっています。ただでさえ運動は苦手なのに,「短い時間で運動を習得するなんて難しい」などという不安を抱える生徒の皆さんも多いのではないでしょうか。今日は,限られた時間で効率よく運動を習得するための"ある習慣づけ"を紹介しようと思います。

 効率よく運動を習得するためには,動きに対する自己観察能力を高めることが大切です。自己観察能力とは,自分の運動を内側から見つめることで,自分の身体をどのように動かしたら実際の動きがどうなるのかを把握する力を指します。この能力を高めることは,運動がなかなかできないときに,どこが欠点で,どうすればできるようになるのかなど解決の糸口を見つけ,効率よく運動を習得することに繋がります。ただ,この能力は,はじめから備わっているものではないので,これを高めるためには訓練が必要です。具体的には,①動きの感じを言葉に出す努力をする,②ビデオカメラやiPadなど映像機器を活用する,③練習日誌を活用する, という3つの方法です。なかでも今回は,練習の場面から離れた教室や自宅でもできる③の方法について紹介したいと思います。

 練習日誌は,日々,どんな練習に取り組んだかを記録するものです。しかし,練習の内容やよかった・悪かったなどの感想だけを書くのではあまり効果は期待できません。大切なことは,どのような欠点に対して,誰からどのようなヒントを得て,その結果どのように変わったのか,新たに気づいたことは何だったのかを具体的に書くことです。文字にする過程で,自分の動きの感覚を何度も呼び起こしながら振り返るため,自己観察能力は一気に高まります。また,何となく練習していただけでは気づかなかった欠点やポイントが浮かび上がり,次回の練習に活かすこともできます。

 これが、短い時間でも、効率よく運動ができるようになる「習慣」です。なかなか運動の時間を取れない状況ですが、この習慣を身に付けることによって、自分の身体と思い切り対話し、限られた時間で最大の効果を引き出す努力をしてみましょう。

関連ファイル