岐阜聖徳学園大学 岐阜聖徳学園大学短期大学部

岐阜新聞 真学塾64 教育学部 保育専修 真鍋顕久  

『アサーションの実践で、豊かな人間関係を』

岐阜聖徳学園大学教育学部准教授 保育専修 真鍋 顕久

 自分も相手も大切にする自己表現ができたらいいですね。ここでは、コミュニケーション技法であるアサーション(assertion)についてお話したいと思います。アサーションとは、自分と相手のお互いを尊重したうえで、自分の意見や考えを相手に伝えるコミュニケーション技法・自己表現であり、「さわやかな自己主張」ともいえます。

 アサーションの考え方やスキルは、人とよりよい人間関係をつくるうえで、とても役に立ちます。

 人との関係において、自分の言いたいことを我慢し、相手の言いなりになってしまうとストレスとなり、その人と付き合うことが億劫になってしまいます。かといって、自分の主張を一方的あるいは攻撃的にぶつければ、相手と対立してしまいます。

 ここで、さわやかな自己主張であるアサーションを行うためのポイントをお伝えしましょう。まずはすべての人が自分の気持ちを素直に表現する権利をもっているのだと理解し、相手を一人の人間として大切に思うことが前提となります。自分の気持ちを伝える際、相手に対し批判的な言葉になりづらい「私メッセージ」(主語が私である言い方:私は○○と感じる、思う、○○してもらえるとうれしい...)が有効です。お願いの表現により、お互いの意見が異なっていても話し合える余裕も生じてきます。さらに、自分も相手も納得できることかを考えてみることもポイントとなります。自分だけが一方的に納得できる結論を伝えるのではなく、時には相手に歩み寄ることも必要となってきます。

 例えば、あなたが忙しいときに人から頼まれごとをされた場合に、どのように対応しますか? 「無理です!」とすぐに断ったり、自分の気持ちを抑え込んで「わかりました。すぐにやります。」と引き受けるのではなく、素直な自分の気持ちや現在の忙しい状況を伝えて、「数日後なら取り組むことができます。」などの新たな提案ができたらいいですね。

 このように、自分も相手も大切にする自己表現であるアサーションを実践して、豊かな人間関係を築いていきましょう。

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