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岐阜新聞 真学塾 経済情報学部⑦ 加納正二
五代将軍綱吉は犬将軍か大将軍か
岐阜聖徳学園大学経済情報学部教授 加納正二
五代将軍の徳川綱吉は「生類憐みの令」という悪名高い法律を発布したため、「犬将軍」とか「犬公方」と揶揄されます。生類憐みの令とは、一回限りの法令をさすのではありません。
綱吉の時代には、幕府の台所での鳥類・貝類・海老の使用禁止、人宿・牛馬宿などで重病の生類を遺棄することの禁止、食物としての生鳥・生魚の商売を禁止、大八車や牛車が犬を引き殺さないように注意すること、中野に広大な犬小屋を建て野犬を収容すること、など様々な令が発布されました。これら生類に関する法度(法律)の総称なのです。禁を犯した際のペナルティについて人の命と動物の命というバランスのない刑罰でした。
そのため、犬に怪我をさせると重い刑罰が科せられるという面ばかりが印象に残る天下の悪法とされるのですが、その考え方の背景には画期的な側面も見られます。
第一に人の命の大切さを示した点があります。
当時、武士というものは、生死二者択一であれば死を選ぶべきとされていました。山本常朝の『葉隠』で記されているように、「武士道といふは、死ぬことと見つけたり」だったのです。死の礼賛と公益への忠実や献身の理想が結びついていたのです。
そのため、殿様が死ぬと、家臣は殿様の後を追って殉死することが美徳とされた時代だったのです。それに対して綱吉は殉死を禁止する考え方でした。さらに犬の命も尊ぶことで人の命を大切にするというパラダイムの転換を図ったのです。
第二に、弱者に対する社会福祉に先鞭をつけたという点があります。「捨て子がいれば保護し養育すること」というのも「生類憐みの令」の一つなのです。
捨て子、行路病者(行倒れの人)や囚人に対する環境を改善しました。支配者側が弱者を気遣うのは前例がなく社会福祉政策の先鞭をつけたという点で評価できます。
綱吉の考えたような、生命の尊厳、弱者保護、社会福祉という考え方は、当時、まだ普及していませんでした。この点に着目すれば、五代将軍徳川綱吉は「犬将軍」ではなく、偉大な将軍と言えるのかもしれません。( 2021.5.2岐阜新聞掲載)
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