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第7号 平成19年10月発行

「勇悍なこと、1000%勇気(^o^)」

城福 雅伸

さて、前回、親切にしましょうということを書きました。でも、これは言うは易し、するは難しの典型的なものですよね(^^;)。つまり親切にするにはやはり大変な覚悟が必要だということで、この点なかなか難しい所があります。
親切心は誰も持っているものです。人に喜ばれるよいことをしたいという心は皆さんお持ちでしょう。でもどうして、そのことがなかなか出来ないのかといえ ば、一つは恥ずかしいから。気恥ずかしさでしょう。もう一つはめんどうくさいから。もう一つはそれによって自分が不利益になることを怖れるから、といえる でしょう。これらは誰でも感じ思うことですよね。
つまり、これを乗り越えなければならないという所に難しさがあり、乗り越えるという覚悟が必要であるということになります。では、覚悟ができるにはどうしたらいいのでしょうか。
それは勇悍さを持つとことだと思います。言い換えますと勇気を持つことと言っていいでしょう。
親切にすることを妨げている一つ、「気恥ずかしさ」ですが、これに勇気、勇敢さをもって立ち向かいます。これにより「気恥ずかしさ」を乗り越えることができましょう。
例えば、荷物を持って苦しそうに歩いているご老人に「荷物をお持ちしましょう」と手を差し伸べた時、心の中に働いているのは荷物を持つという意志より も、勇気、勇敢さが働いてるように思います。これは道の真ん中で何かいいことをしている自分の「気恥ずかしさ」を勇気によって乗り越えたということに他な りません。
同じく「めんどくささ」。これにも勇気、勇敢さをもって立ち向かいます。例えば「しんどいなぁ」と思って横になっていた(寝ていた(^^;))体を起こ して勉強をしよう!という場合、心に何が起きているのかといえば、勉強しようという心そのものよりも、体を起こす勇敢さ、勇気が生まれていると思います。 「めんどくささ」も同じように考えられるでしょう。
親切なことをすることを妨げるもので、もっとも難物は「自分への不利益」ですが、これを乗り越えるのも勇気、勇敢さに他なりません。
他の人に手を差し伸べる親切さは精神も体力を消耗しますし、お金を消耗する場合もありましょう。自分の立場も消耗するということもあります。これらはすべて自分にとって不利益なことです。
しかし、人が困っており、これに手を差し伸べることをやりとげなければならないという場合、悪条件を乗り越える心は、やはり勇気、勇敢さです。
単に勇敢さだけ、勇気のみというのは蛮勇に過ぎず困りますが、私たちがよいことを行おうという場合、それを推進してくれるのはやはり勇気、勇敢さに極ま ると思います。  勇気をともなわない親切心は持っていたとしても結局、個人の内面にとどまって表に出して生かすことが出来ません。これを押し出してくれるのが勇気、勇敢 さです。
未来に向かっては、皆さん方のように親切心を持たれた方こそ、勇気、勇敢さを持っていただければと思うのです。また心に勇気、勇敢さのある方は、より親切心を持っていただくと他の人々にとっても非常に心強いことになりましょう。そうすればよい社会になると思うのです。
次の言葉の「賢さ」が「親切心」なったように。
賢さのない勇気は、乱暴に過ぎない。勇気のない賢さは、冗談に過ぎない。世界の歴史には、勇気はあるけれど馬鹿な人間や、賢いけれど臆病な人間がたくさんいた。それはおかしな状態だった。
勇気のある人間が賢くなり、賢い人間が勇気をもってはじめて、人類の進歩というものが感じられるようになるだろう。これまでしばしば、まちがって別のことが人類の進歩だと言われてきたけれど。

<丘沢静也訳 エーリッヒ・ケストナー『飛ぶ教室』(光文社古典新訳文庫)>