• 受験生の方へ
  • 在学生の方へ
  • 卒業生の方へ
  • 企業・教育関係の方へ
  • 地域の方へ
  • 教育学部
  • 外国語学部
  • 経済情報学部
  • 看護学部
  • 大学院
  • 短期大学部
  • 大学概要
  • 学生生活
  • 就職資格
  • 図書館・研究機関

第10号 平成20年1月発行

「瑠璃色の地球」

河智 義邦

新年あけましておめでとうございます。
今年は、西暦(キリスト暦)でいうと2008年ですが、イスラム暦だと1429年、ユダヤ暦5768年、仏暦2551年、皇紀2668年、平成20年、 親鸞暦836年など、世界にはそれぞれの信仰に基づいた暦数を使われている人も多くおられます。イスラム暦や仏暦を使用する諸国でも、国際関係についての 書類などには西暦が併用されて表記されるなど、一応西暦は世界標準暦となっています。基準によって、年数の多少や一年の長さに違いがあるので、どの暦も相 対的なものでありますが、基本的に暦は、地球と太陽・月との関係で決められてきました。地球人にとって、太古の時代から、この二つの星は大変身近な存在 で、その生活に大きな影響を及ぼしてきたと言うことができます。
わたし自身にはそういう信仰はないのですが、初日の出に手を合わせて拝むという行動は、まぎれもなくアニミズム信仰という最も素朴な宗教心の現れであり、初日の出だけでなく、日々太陽を拝んで過ごしておられる方も多いのではないでしょうか。
私たちは日頃、日の出・日の入りの様子を目の当たりに見ることができて、その美しい光景に出会うことができますが、先般それとは趣は異なりますが、負け ず劣らず美しい星の姿を見ることができました。それは、月から映し出された地球の姿です。昨秋、JAXA(宇宙航空研究開発機構)とNHKが、高度約 100kmの月周回観測軌道に投入した月周回衛星「かぐや」からハイビジョンカメラによる動画撮影に世界で初めて成功した映像が配信されました。テレビな どのメディアで大々的に取り上げられましたので、ご覧になった皆様も多いと思います。それは、奇しくも往年の松田聖子のヒットソングのタイトルではありま せんが、「瑠璃色の地球」と名付けるに相応しい深い青色に輝く星の姿でした。もちろん、はじめてその姿を見たわけではありませんが、ハイビジョンカメラや 液晶テレビなどを通じて映し出されたその姿は、それまでに見たものとは鮮明さが違いました。「地球の出」「地球の入り」と表されたその光景に、私たちはこ んなにもキレイな星に住んでいるんだということを実感する一時となりました。
しかしながら、その青く輝く星の中は、その美しさとは裏腹に、様々な問題山積で新年を迎えることとなりました。美しい国作りを掲げて一国の首相になった 人が、自虐的にその舞台から去ったことは印象的な出来事の一つでしたが、その問題すら小さな出来事に感じるほどに、大きな問題が地球規模で起こってきまし た。温暖化や乱開発による環境破壊問題、南北に留まらない経済格差問題など、地球や人類の生存そのものに関わる問題が、もはや「そんなの関係ねえ」と言え ない危険水域レベルにまで高まってきました。その全ての原因は私たち人間の欲望に起因するものと言えましょう。
その解決は一朝一夕には無理と言われています。地球の上には、人間が作り出した国境という区切りがあり、その中では人々が限られた資源を奪い合い、競争 原理によって損得勘定をしながら生きなければならない経済システムが構築されています。このシステムを変えることや、人間の欲望を減らすことは即座には期 待できません。しかし、このままで良いとはならないでしょう。無くすことのできない人間のエゴやエコノミー活動、そしてエコロジーを両立させるためには、 とりあえずは環境を守る行為が自分たちの(経済的な意味も含めて)利益になるという社会システムを作っていくことを目指しながら「エゴとエコ」の折り合い を付けていかなければなりません。既に北欧・西欧などではそうした試みが現実になってきています。しかし、本質的には「少欲知足」に生きるほかに地球と人 類生存の道がないことは確かなことと思います。
そう思うと、話が大きく逸れるようですが、年末年始に大食い番組が横行しているこの国と、それを喜んで見ている多くの国民がいるこの現実から見直してみ ることはあながち無意味ではないような気がしました。世界には明日に食べるものが無い人々が何億といることを忘れてはなりません。