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第17号 平成20年12・1月発行

「世間虚仮 唯仏是真」

譲 西賢

私事で恐縮ですが、先日私の父方の叔母の嫁ぎ先の住職が亡くなりました。住職と申しましても叔母の娘婿で私と同年の50代半ばでした。自宅で療養生活中でしたが、肝硬変による急性肝不全で、火曜日の夕刻容態が急変し、救急車で病院へ運ばれましたが、その夜お浄土へ還られました。私は、翌朝水曜日の早朝連絡を受け、午後から叔母のお寺へ駆けつけました。葬儀は金曜日に営まれることになりました。平日のことでしたから、当然のことながら私には、カウンセリング・大学の講義・某中学校の研修会などの予定がありましたが、キャンセルや予定を変更して、葬儀当日までほとんどの時間を叔母のお寺で過ごしました。

葬儀には不思議な力があります。お手伝い等をする中で、故人を偲ぶだけではなく、日ごろの自分を見つめ直させてくれます。「葬儀でなかったら、今日は、これだけの業務をこなさなければ。私がやらなければ」と、自分の思いを満たしながら、自分の存在感をそれなりに感じて一日を終えていたと思います。私の思いに照らせば、「本来なら、あれとあれの予定があったのに、葬儀でそれができなくなった」と思いたい私がいます。本来の一日は予定通りの一日で、葬儀は、不本意ながら予定を変更したから本来の一日ではない。ましてや、親戚の同い年の住職の葬儀だから、本来の一日であるはずがないと思っていた私がいました。

ここ最近、世界中がアメリカのサブプライムローンに端を発して、株価が乱高下しています。我が国では、総選挙をにらんで国会では駆け引きが激化し、立候補予定者は、選挙準備とお金のやりくりで頭がいっぱいのことと思います。親鸞聖人が「和国の教主」と敬われた聖徳太子は、「世間虚仮 唯仏是真」と説かれました。人間の日常生活は、思い優先でなされていくから空しいものであり、仏さまのはたらきのみが真実であると説かれたのです。『仏説無量寿経』には、「厚己諍利 無所省録・・・・・・・・・・ 世間如是」と記されています。人間は、自分可愛く得することのみを求め、その生き方を顧みることがない。世間はかくの如しだと説かれるのです。株価乱高下も総選挙の駆け引きもまさにその典型例です。

そうでした。私の日々の過ごし方こそ世間虚仮、空しい思い違いだったのです。予定通り送れる日も悲しい葬儀の日も、みんな如来さまが私にくださる本来の日です。予定通りの日も私が成し遂げた日ではないのに、私が自分可愛さでそのように思い違いしていたに過ぎません。日々毎日が、如来さまからいただいて生活できているのに、自分一人で生きているように思いあがっている私を、この度の葬儀を通して気づかせていただきました。そう気づいた時、本当に落ち着いてしみじみと葬儀をお勤めできた私がいました。