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第20号 平成21年6月発行

「ご恩に報いる」

蜷川 祥美

「話がしたいから、また病院にいらっしゃい」。同じ職場の同僚でもあった親友を亡くして悲しみに沈んでいた私に、上司であり、同郷の恩師でもあった方から、電話がありました。
その方は、ご自身も末期癌で苦しんでいらっしゃたにも関わらず、お見舞いに伺った私に、次のような言葉をくださいました。「私も彼の死を聞いて、君と同 じように苦しんだよ。でも私たちは、お互いはかない命しかもちあわせていない人生の中で、たまたま出逢い、支え合って生かされてきたんだよ。彼との出逢い によって得たさまざまな経験を大切に思い、これから経験するであろう多くの命との出逢いの貴重さを、より痛切に感じる生き方こそ、有意義な人生を過ごすこ とにつながるのではないだろうか。これこそ、念仏の教えに聞く人生なんだよ」と。
念仏の教えに聞く人生とは、「南無阿弥陀仏」(阿弥陀仏を信じさせていただく)と称える生活のことです。阿弥陀仏は、あらゆる命あるものと同じこころと なって、その苦しみを自らの苦しみとし、その原因を知らせて、乗りこえさせるはたらきをもつ仏であるといいます。そうした仏を信じさせていただくというこ とは、自分のこころの愚かさに気づかされて内省のこころをもつことであると同時に、愚かな私にも、常に阿弥陀仏のこころは届いているのだと喜びのこころを もって人生を生きぬくことでもあります。そして、私たちがそのような人生を歩むことが阿弥陀仏の願いなのですから、「南無阿弥陀仏」と称える生活を送るこ とは、阿弥陀仏のお救いへの一番のご恩返しとなるのです。
ご恩返しなどなかなかできない私ですが、念仏の教えを通して、私の苦しみを自らの苦しみとして、多くの命との出逢いの貴重さを教えて下さった恩師、友人 に出逢えたことのありがたさを思い、阿弥陀仏や多くの方々のご恩に気づかせていただく、すなわち、自身の人生の指針を念仏の教えに聞いていく人生を目指し たいものです。