大学との連携 園の特色

幼稚園教育の本質と大学との連携について

岐阜聖徳学園大学
教育学部保育専修長 西川正晃

幼稚園は学校教育の始まりなので、勉強を大切にするところだという考えがあります。これは幼稚園だけでなく、保育園やこども園など他の幼児教育施設においても、勉強ということを前倒しするような、小学校への準備教育という考え方はやはり根強くあるように感じます。現在、幼児教育と小学校教育をつなぐ「架け橋プログラム」の中でも文部科学省も、「幼児教育の認識が社会的に共有されているとは言いがたく、小学校教育の前倒しと誤解されていることがある」と指摘しています。

このように、幼稚園教育をはじめとする幼児教育の本質を、今まさに再確認することが求められています。では幼児教育の本質とは何でしょうか。それは、子どもたちが、やりたいことを見つけて環境に働きかけ、何度も何度も遊び込む姿の中にみてとれるのです。例えば、子どもたちが大好きな泥だんごづくりをみてみましょう。

光る泥だんごにあこがれ、自分でもつくってみたいと心わくわくさせながら挑戦していきます。どの土がいいか考え、いろいろと土の感触を確かめ、これだと思う土を見つけます。いい土が見つかっても、なかなか光らせることが出来ず、試行錯誤をくり返しながら自分なりに工夫します。時には、友達と情報を交換したり、技術を盗んだりしながら、納得のいく泥だんごのイメージに近づけていきます。うまく光らないときもありますが、自分自身でやり遂げていく遊びは、大きな自信へとつながっていきます。

このエピソードからも見えてきますが、泥だんごづくりを通して、考える力やコミュニケーション能力など、これからの生きていく上で大切な力がたくさん発揮されています。これらの力はまさに栄養となり、小学校以降の学習へとつながっていくのです。

こうしたダイナミックであり、アカデミックな幼児教育の本質を、日々の実践を通して大切にしている教育の場が附属幼稚園なのです。この営みをさらに分析し、子どもの学びをより豊かにしていくための大学との連携研究が、日常的に行うことができる強みが附属幼稚園にはあります。また、学生も実際の保育実践を通して、大学で学んだ理論や知識を深掘りすることができます。

附属幼稚園は、大学における研究や学修の成果と、保育実践の営みが往還する場であります。これからもこうした関係性を強みに、幼児教育の発信をどんどん行っていきたいと願っています。

大学附属幼稚園としての特色

1.大学施設の活用

園に隣接する学園温水プール、総合体育館などの大学施設を利用した活動を行っています。温水プールでは、年間を通してスイミング教室ができ、また夏には日やけの心配をすることなく水遊びができます。園庭の何倍もの広さがある総合体育館では、天候を気にすることなくのびのびと活動ができます。

2.実習生等の受入

附属幼稚園の使命として幼稚園教諭・保育士養成のために、年間を通して岐阜聖徳学園大学の1年生から4年生までの学生の実習を受け入れています。また、卒業研究にも協力し、その成果を園での指導に生かしています。子育て支援活動「みみちゃんクラブ」には、毎回保育専修の学生が実習として参加しています。

3.研修会の実施

長期休業中を活用して、大学教授等による職員研修を実施し、日常の保育や行事の実施に生かしています。

4.大学との連携

大学の教員が定期的に園を訪問し、園児の様子を参観して教職員にアドバイスを与えたり、教員の研修を行なったりしています。

5.大学教員による保護者への講話

大学の子育てに関する公開講座に保護者が参加したり、保護者会で大学教員による講話を実施したりしています。