岐阜聖徳学園大学 岐阜聖徳学園大学短期大学部

「第9回子育て講座」を開催しました

イメージを拡大
「第9回子育て講座」を開催しました

「子どもの絵」どうみる?どう育む? 

~短期大学部専任講師 齋藤正人先生~

今回は「子どもの絵」について、豊富なお話を齋藤先生にしていただきました。... "あなたは、絵を上手に描けますか?"この質問に対し、みなさんはどう答えますか? この質問の答えこそが子どもの絵を考える出発点となるそうです。 まずは、「自分自身に向き合う事が始まりの第一歩。」みなさんは自分の子どもの時の絵を思い出してみた時、どんな絵を上手な絵だと思っていましたか?絵を描いて楽しかった事は何ですか?反対に、絵を描いて嫌だった事は何ですか?お母さんに言われてうれしかった事は何ですか? 様々な質問に、それぞれの想いが出てきたかと思います。

子どもの頃に絵を描く事が好きだった人は、比較的大人になっても絵を描く事が好きという人が多いのだそうです。 幼児期の絵というのは、「楽しむ」ことが1番。教えるのではなく、楽しむ事。 先生のこの言葉がとても心に響きました。

幼児期の絵は、「心身が解放された自由奔放な絵」「子どもならではの世界観のある絵」そこが魅力的でもあります。 りんごだから赤色とは限りません。1番最初に手にした色が、その子にとって好きな色なのかもしれません。否定したり、例え違う色だとしても持ち替えさせる事はしない方が良い。と先生はおっしゃいました。

子どもの絵には描画表現の発達過程があります。これは幼児期特有の表現ですが、階段状ではなくゆっくりとした上り坂で、登ったり下ったりを繰り返しながら進んでいくそうです。 その為、以前は描けていたのに描けなくなったと気にしなくても大丈夫。 子どもの成長しようとする力を信じて「待つ」事を意識して見守る事が大切です。 何歳だからここまで描ける等ではなく、最も大切なのは楽しく描きたくなるような環境を与えてあげる事です。

先生のお話の中で、参加者のみなさんも大きくうなずいた事がありました。 「例えばパイナップルを子どもたちの前に出し、さぁこのパイナップルの絵を描きましょう!と言っても、上手く描けない子や、描く気持ちになれない子もいます。 しかし、パイナップルを見て、香りはどうかな?触ってみてどうかな?食べてみたらどうかな?と感じた事を十分に味わい、食べてパイナップルがなくなったとしても子どもは喜んで描くのです。」 見たものを描くのではなく、感じた事をどう表すかが大切な時期でもあるというのはとても共感しました。

 最後に、よくされる質問をあくまでも1つの例として参考になればと教えていただけましたので1つご紹介します。 Q.子どもの絵は褒めた方がいいと聞きましたが、本当ですか? A.褒め方によっては、「褒められるための絵」を意識して描くようになり、逆効果です。何でも褒めるのではなく、どこがどのようによく描けているのか、具体的に伝える事が大切です。 そして、子どもの描いた内容に共感する姿勢が、子どもの「また描きたい!」という意欲を引き出し、絵の上達を後押しします。 また、どんな絵であっても大切に扱ってあげる事が大切です。部屋に飾ったり、家族で話題にしたりする事で、さらにやる気を引き出します。

やる気スイッチを押すのは、褒める事だけではなく、大切に扱うという事も重要になるのですね。

子どもは、何が描けたか(結果)より、どう描いたか(過程)が大事です。子どもと一緒に過程を楽しむ姿勢が求められています。 描いた後ではなく、描いている時に時間を共有してあげる事。上手になる必要などなく、楽しいと思うこと。 また、子どもが自分で感じた考えた気持ちを率直に表現できている事が大切です。

絵のことに限らず、子育てをする上での大切な事をたくさん教えていただけた先生のお話でした。 子どもならではの純粋さや表現を大切にしてあげたいですね。