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法話 第56号 平成30年4月・平成30年5月発行

皇太子聖徳奉讃(こうたいししようとくほうさん)

蜷川祥美

 浄土真宗の宗祖、親鸞聖人は、聖徳太子を尊敬され、多くの和讃を作られました。
 八十三歳の時、六角堂建立、四天王寺建立や十七条憲法を讃仰された『皇太子聖徳奉讃』七十五首、八十五歳の時、聖徳太子の伝記を讃仰された『大日本国粟散王聖徳太子奉讃』百十四首、そして、八十八歳の時、本願の教えをお勧めくださった太子を讃仰された『皇太子聖徳奉讃』十一首(『正像末和讃』所収)などです。聖人がいかに聖徳太子を尊崇されていたか、よく分かります。

『正像末和讃』第八十四首は、以下のような和讃です。
  救世(くせ)観音(かんのん)大(だい)菩薩(ぼさつ)
   聖徳(しようとく)皇(おう)と示現(じげん)して
   多々(たた)のごとくすてずして
   阿摩(あま)のごとくにそひたまふ
                       (『浄土真宗聖典 註釈版』615頁)
 意訳は、以下のようになります。
救世観音は、聖徳太子としてこの世にそのお姿を現され、まるで父や母がわが子を思うように、見捨てることなくいつも付き添っていてくださる。
                 (『浄土真宗聖典 三帖和讃 現代語版』177頁)
 「救世観音大菩薩」とは、観世音菩薩のことで、阿弥陀仏の慈悲のはたらきを助ける菩薩とされ、世の人々の苦を救うのでこの名があります。日本では古来より聖徳太子信仰が盛んで、太子の本地は観世音菩薩であると一般に信じられていました。「多々(梵語タータの音写)」とは、父のことで、「阿摩(梵語アンバーの音写)」とは、母のことです。
 聖徳太子は、阿弥陀仏の救いを助ける観音菩薩が人の姿を現した方であり、父や母のように私たちに寄り添ってくださった方であるとの表現です。

 また、『正像末和讃』第九十首は、以下のような和讃です。
  和国(わこく)の教主(きようしゆ)聖徳皇(しようとくおう)
   広大(こうだい)恩徳(おんどく)謝(しや)しがたし
   一心(いつしん)に帰命(きみよう)したてまつり
   奉讃(ほうさん)不退(ふたい)ならしめよ
                       (『浄土真宗聖典 註釈版』616頁)
 意訳は以下のようになります。
日本に初めて仏教を説きひろめてくださった聖徳太子の広大な恩徳は、どれほど感謝してもし尽せるものではない。その教えにしたがって一心に阿弥陀仏に帰命し、敬いたたえ続けるがよい。
                 (『浄土真宗聖典 三帖和讃 現代語版』180頁)
 「和国の教主」とは、日本の教主という意味で、聖徳太子を日本仏教の始祖とみて教主釈尊に準じた表現です。聖徳太子は『十七条憲法』第二条に、
篤く三宝を敬ふ。三宝は仏・法・僧なり。
                       (『浄土真宗聖典 註釈版』1433頁)
と述べられています。三宝、すなわち仏と教え、仏教教団によって成り立つ仏教を篤く敬うべきことをお勧めになった方です。「奉讃不退」とは、怠ることなく讃仰することですから、この和讃は、太子が日本に仏教を広められたことを尊敬され、常に敬意をもつべきであるとの表現なのです。
 浄土真宗の寺院の内陣には、ご本尊である阿弥陀如来像が中心に安置されており、その脇には、親鸞聖人の御影や、聖徳太子の御影が安置されています。
 あらゆる人々に真実の生き方を示す阿弥陀仏の教えを伝えてくださった聖徳太子や親鸞聖人を、常に理想の存在として仰ぐ生き方とは、常に自らを省みながら、理想に向かって着実に歩みを進める生き方となるのです。