岐阜聖徳学園大学 岐阜聖徳学園大学短期大学部

法話 69号 令和2年6月・7月 発行

諸行無常印から学ぶこと

蜷川祥美

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法話 69号 令和2年6月・7月 発行


 新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な流行により、緊急事態宣言が発令され、大学構内への立ち入りができなくなり、遠隔授業が行われています。特に、ネット環境が整っていない学生の皆さんには、大変な思いをさせてしまい、申し訳なく思っています。
 本来であれば、受講してくださっている皆さんに直接、それぞれのいのちの大切さをお伝えしたいのですが、それもかないません。私の担当する宗教学の動画をご覧いただけたらありがたく思います。
 授業でもお伝えしますが、仏教には、四法印(三法印)と呼ばれる教えがあります。その中で、最初に説かれているのが「諸行無常印」なのです。
 「諸行」とは、この世に存在するすべてのものという意味、「無常」とは、一瞬の停止もなく生滅変化するという意味、「印」とは、真実という意味です。
したがって、「諸行無常印」とは、この世に存在するものは、一瞬の停止もなく生滅変化するという真実ということになります。
 どんなに元気な方であっても、不慮の事故や、感染症の罹患などで一瞬にしていのちが尽きてしまう場合があります。多くの方々が訪れ、順調であった飲食店も、ウイルス感染を恐れて客足が悪くなり、経営が悪化してしまう場合があります。自らの健康や、順調な仕事に誇りを感じ、それを生きがいとして生活していた私たちは、その急激な悪化に、右往左往するばかりです。
 しかしながら、人類の歴史を振り返ってみますと、疫病の流行は何度も繰り返されてきたことです。私にとっては初めての経験であっても、これまでに、人類は同じような苦しい経験を何度もしてきたはずなのです。
 それでは、仏教で「諸行無常印」という真実が説かれる意義とはどのようなものなのでしょうか。私のいのち、財産、地位、名誉などはいつ悪化し、失われるかもしれないという現実を知り、これらにとらわれ、おごるこころを捨て、謙虚なこころ、思いやりのこころをもつべきだと知らせるためなのです。
はかないいのちしかもちえないという現実は、感染してしまった方だけではなく、私にもあてはまることです。環境が変化すれば、財産、地位、名誉なども悪化してしまうかもしれないということも同様です。
 健康で、財産、地位、名誉などをたもつことができているのは、とても貴重なことなのです。私の健康は、安全な食べ物を生産し、届けてくださる多くの方々のはたらき、病気になった際に治療をほどこしてくれる医療関係者の方々などにささえられてきました。経営する飲食店が順調であったのは、質の良い食材を届けてくださる方々、安心して入店してくださるお客様たちによってささえられてきたのです。それらの尊いおはたらきの一部でも崩れてしまうなら、私の健康、財産、地位、名誉などはたちまち崩れ去ってしまうのです。
 では、このような現実を目の当たりにした時、私たちには何ができるのでしょうか。
 自分のいのちはもちろんですが、私をささえてくださっている多くのいのちの貴重さ、大切さに気付いて、感謝する思いをもち、その思いを行動に移していくこと、これしかないような気がします。
 飲食店や医療現場などで一生懸命はたらいてくださっている方々に感謝の気持ちを表す方々がいらっしゃいます。とても素敵な方々だと思います。

 本学園は、浄土真宗本願寺派(西本願寺)とゆかりの深い学園です。先日、右上に示したアピールが本願寺のホームページにアップされました。紹介いたします。