岐阜聖徳学園大学 岐阜聖徳学園大学短期大学部

岐阜新聞 真学塾 看護学部⑦ 上田ゆみ子 

伝えるということ

岐阜聖徳学園大学看護学部准教授 上田ゆみ子

 コミュニケーションとは自分と相手との間で感情や情報を共有することです。その手段として言葉や言葉以外の表情、態度などが使われます。人はコミュニケーションによって相手を理解して相手との関係を築きます。しかし、自分の考えを相手に伝えたつもりでも相手には伝わっていなかったことやわかってもらえなくて悲しい気持ちになった経験をしたことは誰にでもあると思います。

 今から説明する内容を紙に描いてみましょう。

①紙の右上の隅から左下の方に向けて,流れ星が一つ落ちてきました。

②その星の下に一軒の家が建っています。

③その家の前には大きい池があって,アヒルが3羽泳いでいます。

④その家の後ろには大きい木が一本立っていて,その木のてっぺんの所に三日月が見えています。

 描けたら他の人と見せあってください。まったく同じ絵を描いた人はいましたか?コミュニケーションにおける人それぞれの言葉の受け取り方や表現の仕方は違います。相手に何かを伝えるときには、ノイズが入ることを理解していれば自分が伝えたことがそのまま相手には伝わらないとわかるので、「伝えたのに伝わっていなかった」とか「自分のことをわかってくれない」といったことで気をもむことが少なくなります。また、言葉は一度口から出たら戻すことはできませんので、相手に伝えるときには相手の立場に立って思いやりを持つことが大切です。だからといって、自分の気持ちや言いたいことを我慢する必要はありません。相手との関係性は「私もOK、あなたもOK」がベストです。自分も相手も大切にしながら伝えることでよい関係が築かれます。コミュニケーションはキャッチボールですから、相手が何かを話したら、相手の言いたいことやどのような返事を期待しているのかを考えて質問したり、相手の感情を理解して「楽しかったね」「悲しかったね」と表現しましょう。きっと相手は自分を理解してもらえたとうれしい気持ちになるでしょう。(2021.10.3岐阜新聞掲載)