岐阜聖徳学園大学 岐阜聖徳学園大学短期大学部

岐阜新聞真学塾 短期大学部⑭ 徳広圭子

子どもの貧困とスクールソーシャルワーカー

岐阜聖徳学園大学短期大学部教授 徳広圭子

 2018(平成30)年の厚生労働省「国民生活基礎調査」によると、中間的な所得の半分(127万円)に満たない家庭で暮らす17歳以下の子どもの割合を示す「子どもの貧困率」は13.5%で、約7.4人に1人の子どもが貧困状態にあります。岐阜県が同時期に行なった子どもの貧困調査では7.2%となっており、これは子どもの約13.8人に一人となります。

 このような経済的に困難を抱えた子どもたちをサポートするため、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」があります。この第1条には「この法律は、子どもの現在及び将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、全ての子どもが心身ともに健やかに育成され、及びその教育の機会均等が保障され、子ども一人一人が夢や希望を持つことができるようにするため、子どもの貧困の解消に向けて、(中略)子どもの貧困対策を総合的に推進することを目的とする。」と書いてあります。例えばみなさんが幼稚園の先生になりたくても、学費を工面できなかったら大学進学が難しくなり、夢や希望を叶えにくくなります。そのようなときにこの法律やさまざまなサービスがあり、わが国では経済的な理由だけで大学進学を断念したり、中途退学することを減らそうとしています。

 ではこのようなとき、誰にどのようなSOSを出せばよいのでしょう。学校には、みなさんが経済的に困ったときにサポートをしてくれる社会福祉専門職のスクールソーシャルワーカー(以下、SSW)がいます。SSWは、2017(平成29)年から小・中・義務教育学校、高校・特別支援学校で、2021(令和3)年からは幼稚園で、学校スタッフの一員となっています。また2020(令和2)年からは保育所等にもSSWと同じような役割を担う地域連携推進員が配置できるようになっています。このSSW等がみなさんのお話を聞いて、奨学金や教育ローンなど、一人一人に合ったサービスにつないでくれます。

 ちなみにSSWは、貧困のような生活困窮だけでなく、いじめや不登校、暴力行為、児童虐待など、みなさんが日常生活の中で困ったときに一緒に考えてくれます。困った時は、SSWと出会ってみませんか? 気になる方は、ぜひ学校の先生に話してみてください。(2022年5月15日岐阜新聞掲載)