岐阜聖徳学園大学 岐阜聖徳学園大学短期大学部

岐阜新聞真学塾 短期大学部⑨ 齋藤正人

調和のとれたパレットのような世界

岐阜聖徳学園大学短期大学部専任講師 齋藤正人

 色の三原色(マゼンタ・シアン・イエロー)を混ぜると何色になるか知っていますか。この3色を同じ濃度で混合すると黒に近い色になります。単色では鮮やかな色も、混ぜ方によっては色みのない濁った色になってしまうのです。

 今回は私見として、色彩と人間関係の類似点についてお話ししたいと思います。みなさんも一緒にイメージしてみてください。まずパレットと絵の具を学校に例えてみます。クラスはパレット、そして友だちは絵の具とします。そうすると一人ひとりの性格が違った色に見えてきませんか。さらにイメージを広げて、友だちとの接し方を振り返ってみてください。もし、友だちの性格を理解しないまま接していれば、色の三原色と同じように、一人ひとりの特徴は薄められ、生産的な関係性は期待できないでしょう。また、気の合う友だちだけと接していれば、パレットに使われない色があるように、クラス全体のよさを知ることはできないでしょう。

 色彩には、次のような性質もあります。隣に配置した色の影響を受け、互いの色を引き立て合うという性質です。さらに、色を取り合わせるバランスにより、新しい色を無数に生みだす可能性もあります。これを学校に置き換えてみると、一人ひとりを尊重した人間関係を築くことが、クラス全体としての調和と発展につながっていくということになります。

 世界に目を向けてみると、近隣の国を自国と同じ色で統一しようとするリーダーもいるようです。もし、みなさんが、身近な友だちを自分の色に染めてしまうようなことがあれば、それは恐ろしい考えのはじまりです。みなさんには、美しい調和というものが、無秩序な混合や均一化することでは生みだせないことを知ってほしいと思います。

 このように考えてみると、多様性を認め合い、すべての人が等しく活躍できる社会とは、カラフルなパレットのような世界ではないかと思うのです。世界が、調和のとれたパレットのようになれば、それはすばらしいことでしょう。大きな世界も身近な学校も、美しく彩るためには、まず自分の色を知ることがスタートです。さて、みなさんの色はなに色でしょう。(2022年4月10日岐阜新聞掲載)