岐阜聖徳学園大学 岐阜聖徳学園大学短期大学部

岐阜新聞真学塾 短期大学部⑪ 内藤譲

健康を支える体力

岐阜聖徳学園大学短期大学部教授 内藤 譲

 「体力」という言葉、みなさんも耳にしたことがあるかと思います。一般的に、私たちが「体力とは?」と聞いて思い浮かべるのは、恐らく、筋力や敏捷性、スタミナ(持久力)など、ヒトが行動を起こす際の能力といったところでしょうか。

 体力は、ヒトの動きに直結することから、運動やスポーツ場面でよく用いられていますが、その一方で、健康とのかかわりが深いことも示されています。「人生100年時代到来!」により、私たちは、これまで以上に「長きにわたり健康であり続けられるか」、つまり「いかに病気にならず、自立した生活を送り続けられるか」が求められるようになってきています。体力は、こういった健康を支える重要な役割を担っているのです。

 若い人では、体力はからだの発育に伴って向上しますが、大人では、残念ながら何もしないと加齢に伴って低下していきます。例えば、筋力は、部位にもよりますが、30歳頃をピークにそれ以降は加齢とともに低下。持久力では、中学生頃がピークに18歳以降から低下。平衡性(バランス能力)にいたっては20歳から70歳にかけて約80%も低下するとされています。

 健康に向けては、体力全般に着目されがちですが、なかには加齢とともに鍛えようのない体力もありますので、これはあくまでも理想です。実際、私たちが自分の健康を考えるときに重要となることは、「日常のさまざまな活動が、ケガがなく、楽に(疲れにくく)行えること」「大きな病気にかからないこと」であります。こういったことを踏まえますと、健康に必要な体力はある程度絞って考えることができます。そして、これらに関係した体力については、既に、「健康関連体力:筋力、筋持久力、柔軟性、身体組成(体脂肪率)」として挙げられ、健康に向けたさまざまな活動の基本に位置づけられているのです。

 これら体力の維持増進は、もちろん気づいた時から取り組むことで問題ないわけですが、年齢がかさむとなかなか思うようにできないのが実際です。健康は、若い頃からの生活習慣の積み上げといわれており、それを支える体力も同じです。できるだけ早いうちから、健康を支える大きな体力土台を築いておくことを是非おすすめします。長い人生に備えて。(2022年4月24日岐阜新聞掲載)