岐阜聖徳学園大学 岐阜聖徳学園大学短期大学部

岐阜新聞 真学塾 経済情報学部④ 阿部邦美  

バーチャルリアリティ(VR)を作成して

岐阜聖徳学園大学経済情報学部教授 阿部邦美

 大今良時(講談社 コミックス刊)原作、2016年9月に公開されたアニメーション映画「聲の形」をご存知でしょうか。大学の私の研究室では、大垣市が舞台となった映画「聲の形」のいわゆ聖地を巡礼する携帯端末向けVR(バーチャルリアリティ、Virtual Reality)アプリケーション(以下、アプリと略します)を作成しました。VRとは、仮想現実、人工現実と言われており、目の前の現実とは異なる現実を体験するものとか、現実ではないがコンピュータでつくられた空間を視覚などの感覚を通じ疑似体験できるものなどと説明されています。最近では身近なものとなり、VRを体験したことのある方も多いのではないでしょうか。

 私の研究室で学生と共に作成したVRアプリは、この映画の聖地である大垣市 四季の広場、大垣公園、新大橋、大垣駅などをVRゴーグルの中で訪れることができるものです。舞台となった現地に出向き、360度カメラを用いて聖地で3D用写真を撮影します。写真に映画のキャラクターや台詞を貼り付けて映画のシーンを再現します。これらのシーンを遷移できるようにプログラミングして、聖地を巡ることができるようにしています。シーンの作成、シーン遷移のために、私の研究室ではUnityを使用しました。Unityはゲームを作るための統合開発環境として2005年に発表されました。そのコンセプトは、誰でも簡単にゲーム作成できるようにするもので、個人版は登録して無料で使用することができます。 現在では、建築設計、医療、自動車などの分野でもUnityが利用されています。

 Unityを利用すれば、高度なプログラミング技術は必要なく、アプリの構想、再現シーンの写真加工、デザイン力などにより、センスの良い素晴らしいVRアプリを作ることが可能です。なお、Apple端末用とAndroid端末用のアプリとは異なり、それぞれ別に作成しなければなりません。はじめてのときは、簡単に実行することができよう、Android端末を用意して、Android端末で使うVRアプリを作成することをお勧めします。アプリ作成に必要なものは、パソコン、Unity、360度カメラ、写真加工のためのソフトウエア,携帯端末とそれを収納することができるVRゴーグルです。皆さんも、是非、作ってみて下さい。(2021.4.11岐阜新聞掲載)