岐阜聖徳学園大学 岐阜聖徳学園大学短期大学部

岐阜新聞 真学塾⑦ 教育学部 体育専修 稲垣 良介

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岐阜新聞 真学塾⑦ 教育学部 体育専修 稲垣 良介

岐阜新聞 真学塾⑦

~水辺活動に備えて~


















コラム  岐阜聖徳学園大学教育学部教授 体育専修 稲垣 良介


 Q‥あなたは水泳が得意ですか?その理由も含めて答えてください。

 質問に答えてもらうには、水泳の意味を確かめておく必要がありそうです。水泳に対する考えが違えば、回答の意味も異なるからです。

 専門書によると、水泳には「水面や水中で、浮いたり、潜ったり、移動したり、姿勢を変化させたりすること」という意味があります。また、行う場所は、もともと河川や湖などの自然の水域を想定していました。

 はじめの質問に対して、プールで友達よりも速いタイムで泳ぐ事が出来るかどうか考えた人はいなかったでしょうか。一定の距離を定められた泳法で泳ぎ、タイムを競うのは競泳です。水面を水平方向に移動する競泳は、水泳の一部に過ぎません。

 このように、水泳の意味を確かめると、水泳が得意かどうか、少し立ち止まって考える必要があることに気づかされます。例えば、水の流れのある河川で、うつ伏せからあお向けへと姿勢を変えることができるでしょうか。

 日本は、人口に対する溺死者が最も多い国の一つです。平成29年だけで、1614人が水難事故に遭いました。このうち死者・行方不明者は679人に上ります。また、日本の中学生以下の子どもの水難事故による死者・行方不明者を場所別にみると、自然の水域が多く、河川の割合がとても大きい特徴があります=図=。河川での水難事故の四大原因は①急流に流される②転倒・転落③深みにはまる④心臓麻痺です。これらの原因は①水の流れがある②底に石(砂)がある③深いところがある④水温が低いーといった河川特有の環境と密接に関係しています。プールにはないこうした環境は、私たちに潤いをもたらすと同時に危険な要因にもなるのです。

 水辺活動が楽しい季節です。水域には、それぞれ特徴があることを肝に銘じ、プールでの競泳が得意だからといって決して油断せず、環境に慣れるまで、ゆっくり行動してください。また、ライフジャケットを着用したり、安全な場所かどうか地元の人に聞いたりすることも大切な備えです。 


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